野菜の栄養

野菜の栄養素 - 人間の栄養


 第1話: 残暑にはキュウリのミオ-イノシトール

キュウリ Myo-inositol の構造
   開花前から、すでに、もう幼いキュウリ                  Myo-inositol の化学構造
 

 特に、夏の暑い時期には無くてはならないキュウリは、水分ばっかりで栄養のない野菜と思いながらも食べていましたが、Myo-inositol の存在が分かり見直しました。 食べ続けられている野菜をあなどってはいけないようです。

 さてと、 この Myo-inositol は腎臓に豊富に存在しています。 それを示すために、ブタの腎臓の水抽出液のNMRスペクトルを次に示します。
 

ブタ腎臓およびMyo-inositolのNMRスペクトル
 図. 1. 上側の1H-NMRスペクトルが腎臓抽出液であり、Myo-inositol 由来のピークを赤色で示してある。 下側は純粋の Myo-inositol 水溶液のスペクトルである。 下に示したピークが上のスペクトル中に重なっていることが分かれば良いだけです。 赤で示しておきましたので、分かり易いかと思います。

 Myo-inositol は腎臓に限らず、すべての細胞にとって必須な化合物です。 脳細胞にもあります。 その中で、腎臓には特に多いのです。 腎臓に関わる医師にとっては既知のことでしょうが、意外にもほとんど知られていない面もあります。そこで、ここではそのことを話題にしています。
 腎臓での Myo-inositol はいわゆる適合溶質(かっては浸透圧調整物質)などと総称されている化合物の一つで、適合溶質はタンパク質の立体構造の安定化に関与していると考えられています。 

 Myo-inositol はヒトの健康維持にとって特に話題になっていることはないようです(補足: 最近、アイスプラントのMyo-inositolがネット上でにぎやかになりました)。 その理由の一つは、ビタミン類がヒトの細胞内では合成できないので、食べ物から摂取しなければならないのに対し、このMyo-inositol はヒトの細胞内でその必要量が合成できているからとされています。 確かに、それならば、特別に注目されるはずもないですね。
 しかし、実際は、食べものからも摂取しています。 それは、食べものである動物や植物の細胞にはすでに含まれているからです。 従って、ヒトの体内で合成されることが事実であっても、食べものからも摂取していることも確かなことです。

 タイトルにも示したように、含有量は少ないのですが、野菜の中ではたくさん食べることができるキュウリが注目されます。 特に、夏の暑い時期には無くてはならないキュウリは、水分ばっかりで栄養のない野菜と思いながらも食べていましたが、Myo-inositol の存在で見直しました。 この暑さで7月25日から突然に「むくみ」が出て、痩せすぎで、皮の皺が目立っていた手の甲などがふっくらしてきて、一見、みずみずしい肌になったのですが、腎機能の低下かも知れないので喜べません。 、キュウリを特にもっと食べねばと思いますが、なかなか、実行していません トホホ。
 他には、枝豆に含まれています。 そして、たくさん食べることはないですが、キノコの中にも多く含んでいるキノコがあります。 

 ヒトは歳をとってくると、腎臓機能が低下する病気があります。いくつかの原因があることでしょう。 ひょっとしたら、その中に、Myo-inositol の合成が衰えて不足していることはないのだろうか。 そして、Myo-inositol を薬として摂取したら治る場合はないのでしょうか。 Myo-inositol は安価ですから、製薬会社としてはうま味のない薬でしょうが、最近のいわゆる健康食品としてはうまい話になるかも知れません。 実際、健康茶にはこの Myo-inositol を含んでいる例が(意外でしたが)多いのです。 特に多く含む地域限定のくだものもあります。 雑草の中にも特に多くふくむものがあります。 機会があれば、この事も紹介したいと思っています。

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 お願い: 誤りがあるかと思います。 指摘いただけると有りがたいことですので、よろしくお願い致します。 例えば、ドーパミンは本当にドーパミンだろうか?

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2010 Apr. 23 カウント開始

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