第34話:伊予柑にプロリン、アルギニン、そして、プロリンベタイン

プロリンベタインの構造

プロリンベタイン(L-proline betaine)、別名、スタキドリン(Stachydrine)の構造

(2010 Nov. 19)
 伊予柑(いよかん)にはアルギニン、コラーゲンの素材であるプロリン、ギャバ(GABA)が含まれています。 酸味はクエン酸によります。 甘味はスクロース(ショ糖、いわゆる、砂糖)、フルクトース(果糖)、グルコース(ぶどう糖)の3者によるものです。

 他には、特徴的な化合物、プロリンベタイン(proline betaine)が含まれています。 このプロリンベタインはプロリンとベタインの2種類を言っているのではなく、上の化学構造図にも示してあるように、一つの化合物なのです。 ちょっと、まぎらわしい名前です。 このプロリンベタインは論文によりますと、ヒトの尿から検出されています。 腎臓に含まれていて、そこで働いている可能性が指摘されています。 食べたプロリンベタインがそのまま吸収されていることも極最近(2010 Jun.)の論文に記載されています。 ただし、尿中に排泄されてしまうようですが。 

伊予柑のNMRスペクトル

図34 伊予柑のNMRスペクトル(2008 Feb. 測定)。 赤は プロリンベタイン由来のピークを示す。 他に、クエン酸、ギャバ、プロリン、アルギニンが含まれていることを示す。


 註: ここに登場するアミノ酸はいずれも遊離アミノ酸であって、タンパク質に組み込まれたアミノ酸ではありません。

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